
食道がんとは![]()
わが国で1年間に食道がんにかかる人はおよそ10,000人以上と言われています。これは胃がんの10分の1の発生頻度です。男性に多く、女性の6倍となっています。60歳代の方が最も多く、患者さんの平均年令は約64歳です。
はっきりした原因は明らかではありません。しかし、お酒とタバコが好きな人、熱い食べ物や塩辛い食べ物が好きな人が多いといわれています。特に、一日(日本酒にして)3合以上の飲酒を続けている人はリスクがさらに高いといわれています。 また食道がんは咽頭、喉頭、舌などの口からのどまでのがん(頭頸部がんといいます)と重複しやすいことも分ってきました。
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図:食道がんに対する飲酒・喫煙習慣の影響
食道がんの症状とはどのようなものなのでしょうか?![]()
健康診断や人間ドックのときに、内視鏡検査などで発見される無症状の食道がんが20%近くあります。無症状で発見された食道がんは早期のがんであることが多く、最も治る確率が高いがんです。
食べ物を飲み込んだときに胸の奥がチクチク痛んだり、熱いものを飲み込んだときにしみるように感じるといった症状は、がんの初期のころにみられるので、早期発見のために注意してほしい症状です。軽く考えないで内視鏡検査を受けることをお勧めします。
がんが少し大きくなると、このような感覚を感じなくなります。症状がなくなるので気にしなくなり、放っておかれてしまうことも少なくありません。
がんがさらに大きくなると食道の内側が狭くなり、食べ物がつかえて気がつくことになります。特にまる飲みしやすい食物(かたい肉、すしなど)を食べたとき、あるいはよくかまずに食べたときに突然生ずることが多い症状です。このような状態になってもやわらかいものは食べられるので、食事は続けられます。また、胸の中の食道が狭いのにもっと上ののどがつかえるように感じることがあります。のどの検査で異常が見つからないときは食道も検査しましょう。
がんがさらに大きくなると食道を塞いで水も通らなくなり、唾液も飲み込めずにもどすようになります。
一般に進行したがんではよくみられる症状ですが、食べ物がつかえると食事量が減り、低栄養となり体重が減少します。3ヵ月間に5~6kg以上の体重が減少したら注意してください。
がんが食道の壁を貫いて外に出て、まわりの肺や背骨、大動脈を圧迫するようになると、胸の奥や背中に痛みを感じるようになります。これらの症状は他の病気でもみられますが、肺や心臓の検査だけでなく食道も検査してもらうよう医師に相談してください。
食道がんがかなり進行して気管、気管支、肺へ及ぶと、むせるような咳(特に飲食物を摂取するとき)が出たり血のまじった痰が出るようになります。
食道のすぐわきに声を調節している神経があり、これががんで壊されると声がかすれます。声に変化があると耳鼻咽喉科を受診する場合が多いのですが、喉頭そのものには腫瘍や炎症はないとして見すごされることもあります。声帯の動きだけが悪いときは、食道がんも疑って食道の内視鏡、レントゲン検査をすることをお勧めします。
◆食道がんの診断
食道がんの診断方法には、一般にX線(レントゲン線)による食道造影検査と内視鏡検査があります。その他、がんの広がり具合を見るためにCT、MRI検査、内視鏡超音波検査、超音波検査などを行います。がんの進行程度を正確に診断することは、治療法を選択する上で非常に重要なことです。
内視鏡検査![]()
内視鏡検査は先端にCCDを搭載した細いビデオスコープを用いて、直接、消化管粘膜を観察する方法です。内視鏡検査は病変を直接観察できることが大きな特徴です。病変の位置や大きさだけでなく、病変の数、病巣の広がりや表面の形状(隆起(りゅうき)や陥凹(かんおう))、色調などから、病巣の数や、ある程度のがんの進展の深さを判断することができます。
食道の内視鏡精密検査では、通常の観察に加えて色素検査を行います。
ヨード液を食道に吹き付けると、食道のグリコーゲンと反応して茶色に染まりますが、がん細胞はグリコーゲンをすでに消費してしまっているため色がつかないので、見つけにくい早期がんでもくっきりと浮かび上がるという方法です。
もう1つの内視鏡検査の大きなメリットは、直接組織を採取し(組織生検)、顕微鏡でがん細胞の有無をチェックすることができ、病変の診断に役立つことです。
無症状あるいは初期の食道がんを見つけるために内視鏡検査は極めて有用な検査です。 たとえレントゲン検査で異常が認められなくとも内視鏡検査でがんが発見されることもありますので、 気になる症状がある方は是非内視鏡検査をお受けください。